楡 周平

: 異端の大義(楡 周平)

[内容紹介]
シリコンバレーからの帰還・・・。世界有数の大手電機メーカー・東洋電機産業の高見龍平は、米国の半導体開発部門撤退という大任を果たして帰国した。長い海外勤務から戻った彼の眼を驚かせたのは、創業者一族とその取り巻きによる恣意と保身の横行。入社同期で一族に連なる人事本部長へ直言するが、それが仇となる。高見は、工場閉鎖という過酷なリストラ業務を命じられてしまった。

異端の大義(下)(楡 周平)

[内容紹介]
新天地・中国での挑戦・・・。工場の閉鎖業務を進める中、解雇に絶望した従業員が自殺した。その対応を巡って、上層部は保身に走り、高見をさらに子会社へ追いやる。癌を患っていた父親を亡くし、転職を決意した高見は、欧州電機メーカー・カイザーの上級幹部に能力を見こまれ、中国という巨大市場の開拓へと邁進する。激動する国際経済と国内製造業の現実を描き切った経済大河巨編。

感想


文庫本の上下巻を合わせて本文だけで1020ページ。終わりが近づくにつれて、もう夢中になって読みました。

上巻では、主人公が大企業の工場閉鎖に伴うリストラ業務を遂行します。「早期退職制度」、私も2度経験したことがありますが、その裏側が描写されていて、身につまされたというか、妙に共感を覚えながら読み進めました。

下巻では、リストラ業務を遂行したにもかかわらず退社に追い込まれた主人公。それを偶然の形で、カイザーに拾われて新しい人生を歩み出すわけですが、ここから、それまでの重苦しい雰囲気が一転して、スーパーヒーローの頑張り物語が進んでいきます。

「会社は人なり」有能で、やる気のある人材を会社に残す。それこそ、会社が発展していくために大切なこと。このテーマ―が全編に貫かれているように思いました。

同族企業の大企業が、経営戦略の失敗と人材育成の失敗で、経営が行き詰まり、企業の存続すらがおぼつかなくある。

ちょうど今起こっている現実を、そのまま描写したような小説で、著者の楡修平さんの筆力に感服します。(2013.06.12記)

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